恋する魔女
すると目の前のテーブルにはご馳走が乗っていた。


そしてその奥には、この屋敷の主人であり、魔法使い界の王であり、ドーラの夫がいた。



「ドーラ、今帰ったぞ。」


「オズワルド、待ってたわ〜」



そう。このオズワルドがジュリアの父なのだ。



今日は、年に数ヶ月だけ屋敷を空ける主人のご帰還の日。



そのため、ドーラは朝から屋敷の整理をしていたわけなのだが・・・



「全く・・・ただ帰ってくるだけだ。何も屋敷をひっくり返すようなことはしなくてもいい。おかげで入るタイミングに困ったぞ」


「まぁ、いいじゃないか。」


笑って誤魔化すドーラ。


約束の時間まで暇を持て余し、始めたら止まらなくなったのだ。



毎年のことだが、今年は時間がかかり過ぎたね。


だが、これも全部あの下等動物のせいだよ。



ドーラがため息を吐くとオズワルドは思い出したように口を開いた。



「そう言えば、ジュリアはどうした?我が愛しい娘は。」



ギクッ


ジュリアの今の状況を知らないのは、オズワルドだけ。



さてどうしたものか・・・




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