恋する魔女
着いた先は、桜の花びらが舞い踊る桜の並木道だ。



「おかしいわね、ここの辺りにママがいるはずなんだけど・・・・・」


「あら?ちょっとジュリア、あんた何でここにいんのさ」



背後から聞こえた声に振り向くと、着物姿のドーラがいた。



「何でじゃないでしょう?パパが帰ってきたならそう言えばいいじゃない。ブライアンに魔法をかけただけじゃ意味が分からないわ」


「あそこで、あの男の前で言ったらどうなるかぐらい予想つくだろう。お父さんに会わせてくださいって言うに決まってる。そんなことしたら二度と人間に戻れなくなるだろ?いいのかい?」




呆れたように面白がっているように言うドーラに、ため息を吐くジュリア。



「でも、あたしとブライアンを結婚するためにはいつかは会わなくちゃいけないじゃない。結婚するわ、どうぞなんてとんとん拍子に話が進むとも思えないもの」


「まぁね。オズワルドは昔からアンタを目に入れても痛くないほど可愛がっていたからね。人間と結婚すると言った日にゃ、世界滅亡だわねぇ」


「もう、縁起でもないこと言わないでよ。パパがあたしを愛してくれてるのはわかるわよ。でも、皆なんて親の承諾得ずに結婚してるじゃない」


「相手が違うだろう?種族が違う。しかも相手はあたし達よりも下等だ。次元が違うんだアンタの場合は」


「次元が違うって言ったって、あたし達は普通に恋をして愛し合っているのに。あんまりだわ」


「だからあの男に魔法をかけて、魔法使いのふりが出来るようにしたんだ!」




そんなことしたって、このことを説明すれば彼は魔法を解いてくれと頼むに違いない。



人間として自分を認めてほしいと彼なら言うはずだもの。




「ブライアンにこのこと説明するわ」


「はっ?バカかい?魔法を解けっていうに決まってるだろう?そんなことをしたら終わりだよ?」


「終わりになんてしないわ。あたし達の愛は本物だもの!絶対にパパに認めてもらう」



< 203 / 217 >

この作品をシェア

pagetop