恋する魔女
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「やっぱり、お姫様なんだね。」



あたしの家の門に立って、ブライアンはポツリと呟いた。




「怖気ついた?」


「フッ、笑わせないでくれ。お義母さんと会った時からもう僕に恐いものなんてないよ?」


「あら、本気を出したらママよりもあたしの方が恐いのよ。」



二人で笑いながら一歩踏み出した。



大丈夫、二人でいれば恐くないから。



無意識に繋がれた手に自然と力を入れれば、握り返してくれる手にホッとする。





「はぁ・・・。今まで生きてきた中でこんなに緊張することなかったよ。」


「フフ、相手は人間じゃないしね。」


「・・・・・いや、そんなの関係ないよ。」


「え?」


「ジュリアが人間だったとしても、同じくらい緊張していたよ。きっと。」




そうね。


そうよね。





「ジュリア、もしもの時は僕は人間を捨ててもいいと思ってるから。」


「っ?!ブライアン、嬉しいわ。でも------・・・」





たどり着いた扉を二人でゆっくり開けた。




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