恋する魔女
「ママだっていつも一緒にいたわけじゃないもの。一人でいることだって少なくなかった。」




大きな屋敷、羨望の眼差し、何でも思い通りになる毎日、たくさんの友人、あたしを好きだと言う男たち



自分中心に回っていると思っていた世界に、突如入ってきたあなた。




「想像できる?彼のためにキッチンで差し入れを作るあたしの姿。恋のキューピッドにだってなったわ。彼が熱を出したときだってつきっきりで看病したのよ。」



いつだって、あたしは何かをしてもらう立場だった。


そんなあたしに誰かに何かをしたい、そういう気持ちを持たせてくれた。




「魔法を使わずに自分の手で何かを作り出すって、私たちが最も尊敬するべきところだと思うわ。あたしはここにいたって、何も成長できない。ただの我儘姫のまま。でも、彼と一緒にいることで、あたしはもっともっと成長できるの。」




何百年と言う長い人生を、このまま我儘姫のまま過ごしたくない。



「パパとママからは教えてもらえなかったことが、彼のもとでは知ることが出来るの。だから、あたしは離れない。彼が生き続ける限り、いつまでも一緒にいるわ。」




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