恋する魔女
その可愛い童顔には似合わない言葉遣い。



ダニエルはその激しいギャップに心臓を鷲掴みされたらしいのだ。



「彼女こそ、俺の運命の相手だ。」



彼女を想像しているのか、目は遠くを見ている。



その姿をブライアンは腰を抜かす思いで見ていた。



「あんなに美人に目が無かったお前が、そこまで入れ込むとはね・・・」



そう言うと、ダニエルはフッと笑った。



「ブライアン、悪かったな。正直君の話は信用していなかったよ。」


「僕の話し?」


「あぁ。本気で愛する人が出来たら、それ以外の女は目に見えなくなるってな。」


「あぁ、それか。・・・じゃぁ、信じるようになったのかい?」


「女に見えなくなったわけじゃないけど、彼女ほど喉から手が出るほど求める女はいないと確信したよ。」



自分でも呆れたように話すダニエルを見て、ブライアンは今夜会うジュリアのことを思っていた。



大丈夫だよ。

君が思っているほど心配しなくても、コイツは本気らしい。

コイツとこんな話が出来る日が来るなんて思いもしなかったよ。



「だが、彼女を落とすのは骨が折れるだろうな。」


「あぁ。だが、俺には女神がいるから安心だ。」


「・・・・・・誰だ?」


「お前の彼女さ。困ったら彼女に色々お願いするからよろしく伝えてくれ。」



それを聞き、ブライアンは低い声で



「ジュリアには近づくな。」



と言ったのだった。



【SIDE:ブライアン(終)】


< 46 / 217 >

この作品をシェア

pagetop