恋する魔女
【SIDE:ブライアン】



毎晩メールと電話をしていても、足りない。


自分でも呆れるくらいにわかる。


僕は今明らかに“ジュリア欠乏症”だ。


声を聞いても、文字を見ても隣にいなければ意味が無い。


その存在を早く腕で確かめたい。




そう切実に思い、ブライアンは本気で超特急の勢いで仕事を片付けたのだ。



僕だけの力じゃない。


彼女も若いながらに、必死についてきてくれた。


だから・・・と言うのは、言い訳なんだろうか。



今、ブライアンはタクシーで彼女をホテルに送っている。



酒の飲み過ぎで、酔ったらしい。



今送っていって、すぐ空港に向かえば、最終便には間に合うはずだ。




──────────・・・・



そしてホテルにつき、鍵を受け取り、彼女を部屋へ連れていく。




「おい、君。ホテルに着いたから、あとは自分でするんだよ?」


「うーん・・・せんぱぁい」



鼻に掛かる声を出し、うつろな瞳を向ける後輩を無視し、ブライアンはソファーに彼女を横たえる。




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