恋する魔女
「先輩、待ってください・・・」


「僕はこのまま帰るよ。」


「お願いです。先輩が好きなんです・・・いいえ、愛しているんです。彼女さん以上ですよ。」



大胆にも、抱きついてきて胸を背中に押しつけてくる。



これがジュリアならば、喜んで抱き締めてキスして目茶苦茶に愛するのに・・・



ブライアンはそのままの態勢でため息を吐いた。




彼女が僕を誘惑しているのは何となく気付いていた。


だからこそ、このタイミングで、はっきりさせておこうと思ったんだ。




「フン・・・君がそこまで自惚れているとはね。」


「え?」


「大胆にも体を押しつけてくるとは・・・余程自身があるのか、それとも」



そこまで言ってブライアンは振り返り、光のない瞳を彼女に向けた。



「ちょっと誘惑すればひっかかるような低レベルな男とばかり関係を持っていたのかな?」


「な・・・!!」



彼女は顔を赤くして怒った。



「ここまで一緒に来たんだから、そう思うのも無理ないはずです。ここはホテルですよ?男女が一緒に来たのならすることはただ一つ。・・・まさか、明日の朝あたしに1人でここを出るような恥をかかせるつもりですか?」




< 54 / 217 >

この作品をシェア

pagetop