恋する魔女
全く・・・ちょっと金持ちの娘だからと、ここまでバ・・・狂っているとは。



思わず素が出るところだったブライアンは笑った。



「な、何がおかしいんですか?」


「いや・・・僕にとって君はただの後輩にすぎない。君が恥をかこうと僕には関係ない。・・・僕が今しなければいけないのは、家で寂しいと泣いているであろう僕の姫のもとへ帰り、涙を拭うことだ。」



そう言うと、ブライアンはフッと笑い、身を翻した。



「あたしを振ったことを後悔しても知らないわよ!」




後悔?そんなことをするわけがない。


僕が後悔するのは、ジュリアを泣かせた時だけだ。




背中に聞こえる女の声を無視し、ブライアンは足早にホテルを後にした。




ジュリア・・・待っててくれ。

今、帰るよ。


君のもとへ────────























その姿を見て、ドーラは少しばかり面白くなさそうな顔をしたのだった。




【SIDE:ブライアン(終)】


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