恋する魔女
マスターが出したカクテルを口にする。



「あら、男を見る目だけかと思ったら、カクテルの趣味も良いわね。」


ジュリアの冷ややかな笑みに腹を立てたのか、エレンはその場から立ち上がると出ていった。



「マスター、美味しかったわ。」



テーブルにお金を置くと、ジュリアも追い掛けた。
















「待ちなさいよ。あなた、ブライアンに恥をかかせるような噂を流したようだけど・・・どうして?」



急ぎ足で逃げようとしていたエレンの前に出て、逃げられないようにする。



そうしたら、観念したのかエレンもようやく話し始めた。



「恥をかかせたのは先輩ですよ。このあたしが初めて自分から欲した男だったのに・・・なのに、このあたしに朝1人でホテルを出るなんて恥をかかせたじゃない!」



エレンは髪を振り乱し言った。


ジュリアはというと



「た、たったそんなことのためにブライアンは・・・」



と呆れた。



「そんなことです?あたしのプライドはズタボロよ!?」


「プライド?あなたのプライドって何よ!?ホテルを1人で出ることだけでプライドがズタボロ?笑わせないで!」




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