恋する魔女
すると、エレンは大きくかぶりを振った。



「嫌よ!絶対に嫌!あたしが先よ!あたしが先に先輩を見つけて好きになったのよ?!なのに・・・なのにどうして邪魔しに来るのよ。」



どうやら理性を失ったようで、エレンはバッグからナイフを取り出し、ジュリアに向けた。



「・・・それでどうするつもり。あたしを殺す気?あなた、女としても終わりだけど、人としても終わりね。」

「うるさいうるさいうるさい!!!先輩はあたしのものよ!渡さない!!」


「そのナイフであの男のようにあたしを切るつもり?いいわ、出来るものならやってごらんなさい。」



魔女を相手にすると恐いことを思い知らせてやるわ。



フッと妖艶に微笑む姿を見て、エレンは酷く自分が惨めに感じ、恥ずかしい気持ちになった。



その思いが、ナイフとともに今ジュリアに突っ込んでくる。




だが、ジュリアがサッと腕を上げると









キ―――――――――ン!!



ナイフの高い音が、静かな夜に響き渡った。






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