恋する魔女
『・・・ごめんなさい。勝手だとは思うけど。』


「じゃぁどうして・・・」



携帯を握る手の力が抜けるようだ。



『理由は言えないの。』


「・・・そんなの不公平だろぉ。」



意味がわからない。



ブライアンは床にしゃがみ込んだ。



『あなたがもし、1ヶ月待ってくれるなら、帰ってきた時に真っ先に言って説明するわ。だけど、待ちきれなくなったら・・・』


「その先は言わなくていい。」


『・・・・・・・・・』


「ジュリア・・・君が今何を考えているか、話して。」



そう優しく聞けば、ジュリアは泣きだしてしまった。



「ジュリア・・・どうしたんだい?」


『ごめんなさい。あなたがあたしとの結婚を望んでくれるのならば、これを受け入れて。』


「どうして?」


『帰ってきた時に全て話すわ。とっても、大事なこと。だけど、きっとあなたにとってはショックの大きな話だと思うの。・・・だから』


「これを乗り越えなければ、聞けないと?」



静かに問うと、ジュリアは小さく“はい”と言った。



泣いているジュリアのことを考えると、彼女にとっても苦汁の選択だったんだろうと考え付くが



デートした次の日に突然、これから1ヶ月会えませんと言われるこっちの身にもなってほしいと思った。



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