Cold Phantom [後編]


懐かしい夢を見た気がした。

実際にはどんな夢なのかはよく覚えてはいないけど、懐かしい感じがしたのは事実だった。

微かに覚えているのは、「白い」事だった。

何もないんじゃないかと思わせるくらい、その場所は真っ白だった。

そんな場所を漂っていると、遠目に誰かが立っていた。

俺に解るのはそれだけだ。

夢の中でははっきりしていた筈なのに、目覚めると至極曖昧な表現になるのはやはり夢である所以だろう。

ただ、そんな曖昧な表現でも唯一解るのは、それが俺の失った過去の出来事だったのだろうと言う事だった。

そうでなければ、意味不明なそんな夢でも懐かしいなんて思わないだろうから…

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