Cold Phantom [後編]
俺も静かに受話器を切り、リビングを見回した。

リビングには俺よりも早起きだった先輩がソファーに座りテレビを見ていた。

テレビもやはり全部のチャンネルが台風速報だった。

「先輩、今日は学校休みになったそうッスよ。」

「……」

返事が無かった。

今のは聞こえない声では無かった筈だが…

俺は近付いて先輩の後ろから声をかけた。

「あ、ヒロ君…」

それには流石に気がついたようだが、それでも反応が少し遅い感じがした。

「どうしたんッスか?今日は何だか元気ないッスね。」

「大した事じゃないんだよ。ちょっと怖い夢を見ただけだから。」

そう言って、小さな溜め息をつく先輩を見て、俺は先輩の隣に座った。

「怖い夢って言うより、嫌な夢を見た感じがするッスよ。」

「…どうしてそう思うの?」

「ため息の回数、もうそろそろ二桁目に突入するッスよ。」
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