Cold Phantom [後編]
「嘘っ!?そんなに溜め息ばかりしてた?」

どうやら意識していなかったようだ。

「多分慣れない部屋で寝たから疲れてたんじゃないッスか?朝御飯でも食べて落ち着くッスよ。」

そう言って立ち上がると、先程まで作っていた味噌汁を台所から鍋ごとリビングに運び、ご飯や漬物等もリビングの机に乗せていった。

「昨日のバイト帰りにでもスーパーに寄っておけば良かったんだけど…有り合わせしか冷蔵庫に無くて、こんなのしか出せなかったッスよ。」

俺は申し訳なさそうにそう呟くと、先輩は小さく顔を横に振った。

「そんな事無いよ。食べさせて貰ってるだけでもありがたいのに、贅沢言えないよ。」

先輩はそう言ってにこやかな表情を見せた。

何だかその表情には少し無理さを感じていた。

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