Cold Phantom [後編]
「…」

確かにそうだが、何だかそのまま流すには不安要素満載なのは変わりそうにない。

「大丈夫ですって、確かに怪しい機械は転がってるみたいですけど薬品は昔に全て廃棄されてるそうなんで心配ないですって。」

「うーん、そうは言うけど…」

そうは言うけど、十分に怪しいのはやっぱり変わらない。

でもここまでしつこく言ってくると言うことは犬塚さんが本当にオカルト好きで、行きたくて行きたくて仕方がなかったって事なんだろう。

でも一人で行く勇気が無い…そんな所か。

「…少しだけだからね。」

思わずそう答えてしまった。

「ありがとうございます。他の人も誘っておきますので詳しい事は後ほど言いますね。」

と犬塚さんは嬉しそうに返事を返してきた。

自分の断れない性格が恨めしく思えた。

バスは尚も大きなエンジン音をあげて山の道を上がり続けていた。

それからもしばらくは山の木々が視界を埋めつくし視界から過ぎていった。

< 113 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop