Cold Phantom [後編]
宿舎に着いたのはそれから約10分程経った頃だった。

あぶら蝉の喧騒と山の木々に囲まれるようにその宿舎はあった。

サッカー場一つ分程の
グラウンドや旧校舎位のちょっと古ぼけた大きな宿舎と正に絵に描いたような合宿所だった。

予約は私らだけのようで他の学校やクラブからは人が来ていないようだ。

「班分けしておいたから、この通りの部屋に入ってくれ。」

先生はプリントした紙を私達に配った。

当たり前のようだが女子と男子は分かれていた。

プリントを渡されて一番最初に私のもとに来たのは犬塚さんだった。

「先輩と私、同じ部屋ですねぇ。」

そう言って近づいてきた。

偶然とはいえ、今日は何だか犬塚さんと一緒の時が多い。

内緒で同じ屋根の下に住んでいるヒロ君はルームメイトを確かめているのか2・3人の男子たちの輪に入っていた。

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