Cold Phantom [後編]
声をかける間も無く犬塚の方からこちらに気が付いたようだ。
「お前も相変わらずだな。」
「相変わらずって?」
「考え事だよ、してるんだろ?」
そう言って返すと、犬塚は少し視線を外し「うーん」と返答ともつかない声をあげた。
しばらくして、犬塚はこちらに視線を戻した。
「考え事って訳じゃなくて…昔の事を思い出してたんだよ。」
「昔の事?」
「そう、姫納先輩をみてると、思い出す子が一人いてね。」
「先輩に似てる奴が昔にいたって事か?」
「似てる…うん、そうだね。」
「?」
犬塚の言葉に俺は何となくひっかかる物を感じた。
普段はアホっぽくて明るい犬塚にしては、何だかはっきりしない返答だったのがその最たる理由だろうか。
「私ね、昔その子に酷い事をしてた。先輩を見ていると、その時の事を思い出しちゃうんだ。」
「それでいつも…ぼーっとしてんのか?」
「私自身、したくてぼーっとしてる訳じゃないけどさ。その子の事を考えるとぼーっとしちゃうんだろうな。」
「お前も相変わらずだな。」
「相変わらずって?」
「考え事だよ、してるんだろ?」
そう言って返すと、犬塚は少し視線を外し「うーん」と返答ともつかない声をあげた。
しばらくして、犬塚はこちらに視線を戻した。
「考え事って訳じゃなくて…昔の事を思い出してたんだよ。」
「昔の事?」
「そう、姫納先輩をみてると、思い出す子が一人いてね。」
「先輩に似てる奴が昔にいたって事か?」
「似てる…うん、そうだね。」
「?」
犬塚の言葉に俺は何となくひっかかる物を感じた。
普段はアホっぽくて明るい犬塚にしては、何だかはっきりしない返答だったのがその最たる理由だろうか。
「私ね、昔その子に酷い事をしてた。先輩を見ていると、その時の事を思い出しちゃうんだ。」
「それでいつも…ぼーっとしてんのか?」
「私自身、したくてぼーっとしてる訳じゃないけどさ。その子の事を考えるとぼーっとしちゃうんだろうな。」