Cold Phantom [後編]
そう言って、犬塚はいきなり自分の両頬を手で小気味良く叩き気合いを入れ直した。

「さて、暗いのは無し無し、折角緑生い茂る森の中の合宿所なんだから、一杯体を伸ばさなきゃね。」

「お、おう…」

俺はいきなりテンションを上げる犬塚についていけず、変な返事しか返すことが出来なかった。

「あ、そうだ。例のあれは消灯時間の二時間後、夜の12時にこの合宿所の裏口付近に集まっててよ。一階のトイレの窓から出たら直ぐの所にあるよ。」

「裏口?そんなのがあったっけ?」

「見に行ったら解るよ。それじゃね、しくじっちゃ駄目だからね。」

そう言って、犬塚は廊下を駆け出しその場を後にした。

「…」

嵐のような奴、何だかそんな言葉がよく似合うなと、あいつの後ろ姿を見て思っていた。

しかし、それ以上に何かがひっかかる。

何が引っかかっていたのか、俺にはよく解らなかった。

< 120 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop