Cold Phantom [後編]
「ん?」
仕上げと言わんばかりに最後に残った味噌汁をすすっていた犬塚が、その手を中断して茶碗を置いた。
「そう言えばそうね、大雑把には話してくれたけど、細かい所まではよく解らないわ。」
続くように沙冬美先輩が話に入り込むと、困った表情で頭を掻きながら犬塚は言葉を選んでいた。
暫くして話を始めた。
「建物自体は本格的な洋館なんですよ。人里離れた場所にあって今では考えられない程広くて優雅な建物なんですよ。昔は人も住んでいたんですが、今はもぬけの殻のようで…」
「まさか、殺人事件とかじゃ無いよね。」
祥子先輩が恐る恐る聞くが、犬塚は顔を横に振った。
「殺人事件ではないようですが、ただ…」
「ただ?」
「その屋敷の住民はある日を境に音信が途絶えて、あっという間にもぬけの殻になったそうなんですよ。その後、捜索願いが出されたんですが結局…」
「誰も見つからなかったって事か。」
気姿月先輩の返答に犬塚は首を縦に振って応えた。
「でも、それだけじゃないんです。いや寧ろ、ここからが本題です。」
犬塚は神妙な顔をして話は続けられた。
仕上げと言わんばかりに最後に残った味噌汁をすすっていた犬塚が、その手を中断して茶碗を置いた。
「そう言えばそうね、大雑把には話してくれたけど、細かい所まではよく解らないわ。」
続くように沙冬美先輩が話に入り込むと、困った表情で頭を掻きながら犬塚は言葉を選んでいた。
暫くして話を始めた。
「建物自体は本格的な洋館なんですよ。人里離れた場所にあって今では考えられない程広くて優雅な建物なんですよ。昔は人も住んでいたんですが、今はもぬけの殻のようで…」
「まさか、殺人事件とかじゃ無いよね。」
祥子先輩が恐る恐る聞くが、犬塚は顔を横に振った。
「殺人事件ではないようですが、ただ…」
「ただ?」
「その屋敷の住民はある日を境に音信が途絶えて、あっという間にもぬけの殻になったそうなんですよ。その後、捜索願いが出されたんですが結局…」
「誰も見つからなかったって事か。」
気姿月先輩の返答に犬塚は首を縦に振って応えた。
「でも、それだけじゃないんです。いや寧ろ、ここからが本題です。」
犬塚は神妙な顔をして話は続けられた。