Cold Phantom [後編]
みんなが集まった所で俺達は犬塚に手渡された懐中電灯を頼りに大きな道を出て少しの間登りの道を歩いた。

真夜中の山道は予想に反しの暗くは無かった。
今日は満月みたいで月明かりが光々と夜道を照らしていた。

その途中の事だった。

俺の右手を握る手が震え力が入ったのを感じた。

「先輩?」

俺の右手を握っているのは言うまでもなく祥子先輩だった。

「…」

先輩はフルフルと怯え遂には右腕に捕まるような姿になった。

その怯え方は尋常ではなかった。

「先輩、大丈夫。俺がいるから怖くないッスよ。」

俺はそう言って先輩の頭を軽く撫でた。

「…うん。」

俺のその言葉を聞いた先輩は落ち着いたのか少しだけ腕の震えが和らいだ様な気がした。

ただ、先輩はそれからも俺の腕に顔を埋め離れようとはしなかった。

でも…俺はその時少し思った事があった。

俺の声を聞いた時、同時に先輩も急に安心するかのように震えが和らいだ。

こんなにも簡単に恐怖心を取り除く事が出来る物なのか、そんな事を考えていた。

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