Cold Phantom [後編]
「大丈夫ッスよ先輩、俺がずっとついてますから。」

何が大丈夫なのか自分でもよく分からないが、無意識にそう言って先輩を俺の胸に埋めさせた。

まるで泣いている子供をあやすかの様にそのまま抱き合っていた。

暫くして、先輩は顔をゆっくり離し、小さく息を吐いた。

「ごめんね、ちょっとだけ落ち着いてきたよ。」

先輩はそう言って、俺の右腕をにまた掴まる様な格好でまた俺の隣に立った。

「姫納先輩、屋敷までもうすぐです。頑張って下さい。」

犬塚はそう言って真っ暗な森の中を懐中電灯で照らした。

屋敷らしき物は感覚的には見当たらないが本当に近くにあるのかどうかなんて流石に暗くて解らない。

ただ犬塚の言うことを信じる事しか出来なかった。

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