Cold Phantom [後編]
それから十数分後…

いつもの居場所に戻ってきた軽トラのハンドブレーキを上げてエンジンを切るとマリアさんは小さく息をついた。

「ふぅ、久しぶりに車を運転したからちょっと疲れちゃったよ。とりあえず、寝ようかな。」

そう言って軽トラを降りると大きく伸びをした。

「それじゃあね、部屋でゆっくりしときなよ。」

と私に背を向けながら手を振って自室に入った。

そんな姿に、マリアさんは変わらないなと内心笑ってしまった。

そんな私も風邪をひいているのに外出したせいか体が妙に重たく感じた。

何だか頭まで沸騰しそうな勢いだ。

夏場だから仕方ないのか、妙な汗まで出てきた。

これは危ないかもしれないと、本能的にそう感じると同時に不思議なくらいの安堵感も感じていた。

(安心してる?)

それは妙な感覚だった。

一刻も早く自室に戻ろうと急いだ。

階段を上がり、いつもの部屋を目指した。

そして自室にようやくたどり着いた。

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