Cold Phantom [後編]
「美咲の場合はエスパーじゃなくてガスパ○ルか何かに見間違えられるんじゃないの?」

「ちょっとマスター、何いきなり子犬宣言してんの!?」

「仕事中の美咲は私の飼い犬だからねぇ。」

「ぐぁぁ、何か微妙に腹立つ。」

そんなみーちゃんの怒りとは裏腹にマスターは盛大に笑ってみせた。

まだ忙しい時間帯じゃないのは確かだが、今日は何時にも増してお客さんが少なかった。

いや居ないのか…微妙な所だ。
と言うのも…

「ヒロ君、コーヒーのお代わりはいる?」

「あ、それじゃアメリカンで。」

「うん、アメリカンね。」

私はヒロ君の注文通りアメリカンコーヒーを注いだ。

そう、お客さんはヒロ君だけだった。

「ヒロも物好きだなぁ、うちの店に来たってスタッフ割引なんて物は無いのに…。」

「いや、ここのコーヒー美味いッスよ。」

「そう?喫茶店じゃ普通の味の様な気がするけどなぁ。」

と、マスターは何となく府に落ちない様に言うとそれに続くようにみーちゃんがしゃべり始めた。

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