Cold Phantom [後編]
「まぁ、そうッスね。」

そう言って頷いた。

何だか変な気分だった。

ほんの少し前まではマリアさんの言う事に素直に頷けたのに、先輩と付き合い始めてからだろうか、不思議と自分の過去が知りたくなってきていた自分がいる事に気が付いた。

あれだけ気にしないように思っていたのに…。

その事もあってか、同じ記憶喪失の先輩の事も、他人事とは思えなくなっていた。

「ヒロ的には残りたいのかも知れないけど、今日は早めに帰った方が良いかもね。何かあったかのように思っちゃうといけないから。」

「マリアさんの部屋で寝かせてる時点でもう遅いような…。」

「んまぁ、確かに…」

マリアさんは俺の言葉にそう返事すると、「ま、なんとかなるでしょ。」と腕組みしながらそう言った。

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