Cold Phantom [後編]


「ミルクティーで良いんッスよね?」

「うん、ありがと。」

10時を少し過ぎた頃。
祥子先輩のアパートからそんなに離れていない場所にある公園のブランコに座るみーちゃん先輩に俺は冷たいミルクティーの缶を手渡した。

手に持ったミルクティーを軽く降って開缶したのを見届けて、俺もブランコ回りの手すりに腰を押し付けた。

目の前にいる先輩は終始珍しく暗い表情をしていた。

「先輩らしくないッスよ。」

「うん…。」

…本当に先輩らしくない。

普段だったら「私だってそんな時くらいあるわよ。」とか言って反論していただろう。

「どうしたんッスか?暗い顔して…。」

「ちょっと、考え事。」

「考え事?」

そう返事すると、先輩は「そう、考え事。」と返し、漕いでいたブランコから飛び降りた。

きっちりと着地した先輩は俺の方に近づいて、手すりに腰を落ち着かせた。

間もなく先輩は考えていた事を口にした。

< 54 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop