Cold Phantom [後編]
「ミルクティーで良いんッスよね?」
「うん、ありがと。」
10時を少し過ぎた頃。
祥子先輩のアパートからそんなに離れていない場所にある公園のブランコに座るみーちゃん先輩に俺は冷たいミルクティーの缶を手渡した。
手に持ったミルクティーを軽く降って開缶したのを見届けて、俺もブランコ回りの手すりに腰を押し付けた。
目の前にいる先輩は終始珍しく暗い表情をしていた。
「先輩らしくないッスよ。」
「うん…。」
…本当に先輩らしくない。
普段だったら「私だってそんな時くらいあるわよ。」とか言って反論していただろう。
「どうしたんッスか?暗い顔して…。」
「ちょっと、考え事。」
「考え事?」
そう返事すると、先輩は「そう、考え事。」と返し、漕いでいたブランコから飛び降りた。
きっちりと着地した先輩は俺の方に近づいて、手すりに腰を落ち着かせた。
間もなく先輩は考えていた事を口にした。