Cold Phantom [後編]
みーちゃん先輩が言う事も正直信憑性が無いわけじゃないと感じていた。

記憶喪失な自分も、過去の事について一番最初に思い出すのは家族の事の様な気がしていたからだ。

余程の事でもない限り、一番顔を会わせる事が多いのが家族。

もし、祥子先輩がもしかしたら居るかもしれない義弟の事を思い出したと言うのなら、それは良い兆候なのかもしれない。

…少し考え過ぎだろうか。

「でも、もしそうなら私に言った言葉も祥子の過去と関係あるのかも知れないね。」

「先輩の話はまだッスね。」

俺がそう先輩に問うと、先輩は意外そうな表情で問い返してきた。

「ヒロの話はもう他には無いの?」

「それだけッスけど?」

「そう…なんだ。それじゃ私だけなのかな?」

先輩は腕組みをしながら考え込んだ。

「私の場合はね、言った事も無いような事を如何にも私が言った様に言ってくるんだよ…」

「…どう言う意味ッスか?」

俺がそう問いかけると先輩は組んでいた腕をほどき、ミルクティーを少し飲んでから話を始めた。
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