Cold Phantom [後編]
「私、年上が好みなんだ。恋人を作るなら二十歳以上って決めてるんだけど…。」

「そうなんッスか、意外…。」

「意外って事は無いんじゃない?」

「いや、先輩には湯川先輩が…」

「ブフっ!?…ケホッ!ケホッ!」

丁度ミルクティーを口にしていた先輩はむせ始めた。

「大丈夫ッスか先輩?」

「ヒロが変な事言うからむせたんでしょ!」

「あぁそっか、美咲先輩の片想…」

「それも違う、ってそう言う事じゃなくて。」

先輩は調子が狂うと言わんばかりに困り果てた表情を左手で隠す様に覆った。

「私は年上が好みでさ、祥子もそれは良く知ってる筈なんだ。でも最近になって祥子が(年下好き)って認識し始めてきてるの。そんな事、一度も言った事無いのに…」

「え、なんでそんな事に?」

「こっちが聞きたいくらいだよ。何度も言ってるんだけどなぁ…」

そう言って先輩は軽く首を捻る。

だが、先輩の話はまだ終わっていなかった。
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