Cold Phantom [後編]
「祥子が淹れるから良いんでしょ。」

「えっ?えぇっと…」

と困った表情を見せるヒロ君を見ていたマスターは何かがピンっときたようだ。

「なるほどね。そう言うあれなのね。なるほどなるほど…。」

これを(一を聞いて十を知る)と言うのか。

「あぁ、良いよ良いよヒロはゆっくりしていって。閉店まで居ていいから。祥子ちゃんも残業は無しで良いよ。多分無いと思うけど。」

…さすがだ。
よもや何を狙っているのか私でも手に取るように解ってしまった。

「残業あったら?」

「美咲の断末魔をBGMにして私らが受け持つよ。」

「何その表現?物すっごく不吉なんだけど。」

「いやぁ、卵を昼頃の仕事で切らしちゃってさぁ…。」

「って、買い出しかいっ!?」

みーちゃんは残業時間を待たずに断末魔の様な声をあげる事になったのは言うまでもなかった。

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