Cold Phantom [後編]
仕事が終わってから、マスターの計らい通り(?)私とヒロ君は夜の道を一緒に帰る事になった。

あまり違和感は無かった。
最近はシフトが同じ日はヒロ君と一緒に帰っているからだ。

あの日からまだ2週間足らずだけど、相変わらずヒロ君とはよく馬が合う。

同じ悩みを持つ者同士、やはりお互いの気持ちを解ってあげられるからなのかもしれない。

「俺の方でも色んな人にそれとなく伝えておくッスよ。まぁ、あまり期待してもらっても困るッスけど…。」

「ありがとねヒロ君、本当なら私自身の問題なんだけど…。」

「また先輩はそんな事を、困った時はお互い様ッスよ。そう言うのは俺、放って置けない性分なんで。それに…先輩の彼氏だから…。」

とヒロ君は照れながらも絞り出すように私にそう言った。

そんな一言も私は今幸せな時間を過ごしているのだと実感するのに足る物だった。

「ヒロ君。」

「はい?」

「ありがと。」

そう言って、私はヒロ君の腕に抱きついた。
何だかとてもヒロ君が可愛かった。
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