Cold Phantom [後編]
「料理あんまり上手じゃないよ?」

「料理は任せて、伊達に喫茶店でしごかれて無いッスよ。」

「や…家賃とかそんなに出せないよ?」

「それは愚問中の愚問。家賃なんか取らないッスよ。」

「そんな、悪いよ…」

私はそれを聞いて流石に気が引けた。

それではまるで面倒だけかけてる居候じゃないかと…

でもヒロ君はそんな私に真っ直ぐな視線を向けた。

「何も悪い事は無いッス。むしろ先輩にはここに居てほしいくらいなんッスから。」

「えっ?」

ヒロ君の思わぬ一言に私はヒロ君に目線を向けた。

「今日、美咲先輩に聞きました。遠い町に一時的とは言え引っ越すって聞いたもので、気が気じゃいられなかったんッスよ。」

「でも、会おうと会える距離…」

「先輩には、出来るだけ近くに居て欲しい。そう思ってるッス。」

「!!」

私はその一言に会話の続きを言う事が出来なくなった。

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