Cold Phantom [後編]
11時半を少し過ぎた頃、私はヒロ君にアパートの前まで送ってもらった。

「すいません、本当ならもっと早い時間に来て家を見てもらうつもりだったけど…」

ヒロ君は申し訳なさそうにそう言った。

「仕方ないよ、ヒロ君今日はバイトだったんだもん。」

アパートの門の前で振り向いた私はヒロ君にそう言った。

「それより、本当に私ヒロ君の家にお世話になっちゃうよ?」

「どんと来いってやつッスよ。」

ヒロ君は胸を張って左手で叩いた。

私はヒロ君の家に泊まる事になった。

色々と思う所はあるものの、願ってもないチャンスなのも確かだった。

ヒロ君は私を必要に思ってくれている事もよく分かった。

だから私はヒロ君に少し甘えようと思った。

「それじゃ先輩、明後日にこのアパートの前でスタンバっててくださいね。」

「うん、ヒロ君も手筈通りにお願いね。」

「了解ッスよ。」

ヒロ君は言って私に手をふりながら夜道を歩いて帰った。

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