Cold Phantom [後編]
家についてしばらく後、先輩にこの家の事を教える事になった。

と言っても、なんと言う事でもない。

湯沸し器の使い方や部屋の案内をしたまでで、さほど時間は掛けなかった。

その途中の事だった。

「この引き出しは?」

和室に入った頃、先輩が襖のクローゼットを指差した。

「そこは色んな物が仕舞ってある物置ッスよ。」

そう言って襖を開けると、微かな樟脳の匂いが漂っていた。

何年ぶりだろうか、2・3年は見ていないと思う。

餓鬼の頃、たけと少しの間集めていたパケモンカードゲームの入った収納ボックスや、親父が若い頃に使っていたパソコン等も仕舞ってあった。

「アルバムとかも入ってたりするのかな?」

「多分あるッスよ。でも、俺にはあまり関係ないけど…」

「えっ?」

俺はそう言って先輩が疑問のある表情で俺を見ていた。

そしてハッとした。

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