Cold Phantom [後編]
-俺の事、解らないか?-

少年は私の問いに質問で返してきた。

少年はどことなく寂しそうな表情で視線を背けた。

-無理もねぇよな、あれから凄く時間が経ってるし。-

少年はその真っ直ぐな瞳をこちらに向けた。

…誰かによく似た、濁りのない真っ直ぐな瞳。

まるでヒロ君に見つめられているかのような、そんな気がした。

-でも、俺も人の事言えねぇよ。ねーちゃんの名前、忘れちまったからな…-

少年は背けた目を閉じた。

「私の名前?」

私はそう言い、ややあって名前を告げた。

「私は姫納祥子、多分…ね。」

-!?-

私が名を告げた時、少年は体を小さく震わせ、目を大きく見開かせた。
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