Cold Phantom [後編]
「!?」
私は弾かれたバネの様な勢いで飛び起きた。
勢いがありすぎてしばらく間ベッドのバネまで軋んだほどだ。
心臓が張り裂けんばかりに高鳴っていた。
「夢?」
私は深呼吸をし、心臓の高鳴りを収めてから夢を少しだけ掘り下げてみた。
「姫納祥子は…私の本当の名前じゃない?」
始めに思うのはやはりそこだった。
あの日…そう、病院で目覚めたあの日から私は私自身の名前を知らない。
姫納祥子と言う名前も、元々私の身に付けていた服のポケットにしまい込んであった紙切れに書いてあったと言うだけの名前だ。
一番有力なだけで本当の名前かまでは断定は出来ていない。