赤い瞳の迷い猫
キミの声
暗闇の夜に一際目立つ、月の存在が時折腹立たしい。
何を主張してそんなに輝いているのか。
だけども、時々愛おしい。
闇に包まれている世界で一人でに輝いていて、儚さを感じさせるところが。
好きだけれど、嫌い。
嫌いだけれど、好きな一面もある。
きっと、何にしてもすべてにおいてそんなものなのだろう。
少年、一夏は窓辺から月を見上げ、マグカップに注がれているホットミルクを飲みながら、そう感じた。
肩にはタオルケットを羽織っている。
季節は冬、真っただ中。
家の中にいながらも寒さからは解放されない。
息を吐く度に、白い息を確認することが出来た。