どこか遠くへ【001】
001
次の休みに、何処か遠くまで出かけよう、という話になった。
正直言ってそれほど乗り気な話ではなかったのだけれど、嬉しそうに話す秀一の顔を見て、結局晴彦は何も言えなくなってしまったのだ。
実は、お互いにそれ程遠出は好きではなかった。
が、出掛けてしまえば思い切りはしゃいでしまうのもお互いの特性で、それを思えば別に久々の外出も悪くないかな、などと思ってしまうのだ。
「何処まで行くの?」
教室の窓から吹き込む初夏の風は肌に柔らかい。
実は晴彦は五月と言う季節が苦手で、木々が青く芽吹くのを見る度にげんなりしてしまう。
五月病じゃないの、と秀一は言うのだけれどそういったものとは少し違う。
そもそも五月病に罹るほど、四月の新生活から張り切っていた訳でもないのだ。
「じゃあさ、弁当とか持って行くね」
どうせ遠出と言っても電車か自転車で、しかも日帰りで行ける距離なんて高が知れている。
それでも秀一は嬉しそうに、天気がいいから公園でも行こうか、などと長閑に笑っている。
「何処まで行く気?」
「さあ?」
決めてないんだよ、という。
それが少し気に入った。
だから、秀一の提案を晴彦は快く承諾したのだ。
正直言ってそれほど乗り気な話ではなかったのだけれど、嬉しそうに話す秀一の顔を見て、結局晴彦は何も言えなくなってしまったのだ。
実は、お互いにそれ程遠出は好きではなかった。
が、出掛けてしまえば思い切りはしゃいでしまうのもお互いの特性で、それを思えば別に久々の外出も悪くないかな、などと思ってしまうのだ。
「何処まで行くの?」
教室の窓から吹き込む初夏の風は肌に柔らかい。
実は晴彦は五月と言う季節が苦手で、木々が青く芽吹くのを見る度にげんなりしてしまう。
五月病じゃないの、と秀一は言うのだけれどそういったものとは少し違う。
そもそも五月病に罹るほど、四月の新生活から張り切っていた訳でもないのだ。
「じゃあさ、弁当とか持って行くね」
どうせ遠出と言っても電車か自転車で、しかも日帰りで行ける距離なんて高が知れている。
それでも秀一は嬉しそうに、天気がいいから公園でも行こうか、などと長閑に笑っている。
「何処まで行く気?」
「さあ?」
決めてないんだよ、という。
それが少し気に入った。
だから、秀一の提案を晴彦は快く承諾したのだ。