BANTYO
その人は、私が落とした鞄を拾って私に渡すと
その人:「そこから、バス乗って行けば、学園前に着く。」
そう言って指を指した方向にバス停があった。
「あ、ありがとうございます!…あ、あの…、名前聞いてもいいですか?」
思わず私はその人を見てそんなことを聞いていた。
また目が合う。
またドキンと心臓が鳴る。
何故か、その人のこと知りたくなっちゃったんだ。
その人:「…竜ヶ崎、…帝…。」
竜ヶ崎 帝(リュウガサキ ミカド)…。
先輩だよね…。
ポツリと呟くように言ったその先輩は、私に背中を向けて歩き出した。
「…竜ヶ崎、帝…先輩…。」
私は、ボソッと先輩の名前を繰り返した。
って、先輩どこ行くんだろう?
そう歩いていく先輩を見て思う。
「み、帝先輩!」
竜ヶ崎先輩か、帝先輩か、どっちで呼ぼうか迷った私は、名前の短い方を選んで、先輩を呼び止める。
少し驚いたように、先輩は振り返り、足を止めた。
「あの、バス、乗らないんですか!?」
慌てて先輩の元へ走って行き、そう聞くと、私を不思議そうに見詰める先輩。