BANTYO
先輩:「…乗らない…。」
そう先輩は私から視線を外して言う。
「え?…今日、学校ですよね?」
先輩:「ああ。俺は歩いていく。」
そう私の質問に答えるとまた背中を向けて歩き出す先輩。
私は、携帯を開いて時間を確認する。
……あと10分で入学式が始まってしまう。
…まぁ、いっか!
私は、入学式に遅れることよりも目の前の先輩について行きたくなったんだ。
「待って下さい!アタシも行きますっ♪」
そう思わず微笑みながら先輩の元へ走って行く。
先輩:「…?」
先輩はまた不思議そうな顔で私を見ながら口を開く。
先輩:「入学式、間に合わないけど。…ここから歩いて20分はかかる…。」
「アタシ、歩くの好きなんです!…あとこの町に初めて来たから、色々知りたいし!」
ニッと笑ってそう言うと、先輩は私から視線を外す。
2人横に並びながら、綺麗な桜の並木道を歩く。
ここにも自然があって良かった。
私の生まれはド田舎。
だからって嫌いなわけじゃない。
ただ、不便なだけ。