BANTYO
自然は好き。
草も木も葉も、広がる田んぼも、
"何もない"そう言われるけれど、広がる大自然を目の前にすると爽快な気分になる。
この丘町町にも、意外と自然が多くて良かった。落ち着く。
桜並木を抜けると、学校の校門前に着いた。
立派な長方形の石に"私立丘の上高等学園"と掘ってあり、私がこれから通う高校だと確認する。
その石の奥には、大きな校舎が広がるかと思えば、木々が並ぶ上り坂。
その坂を、上っていく先輩の後を追いながら聞く。
「さっきの石に学校名書いてたんですけど…、学校ってどこにあるんですか?」
先輩:「名前の通り、丘の上にある。…もう学園の敷地内だ。…この坂を上った先にある。」
「そうなんですか!」
…結構歩いてきたな。
風景に気をとられ、私は自分の息が荒くなっていることにやっと気付く。
携帯の時間を確認すると、さっき見た時より25分経っていた。
隣を見ると、背の高いキリッとした先輩の横顔が目に映る。
何か先輩、強そう。
目つきが悪そうに見えるからかな?