BANTYO
それなのに…
道も教えてくれるし
鞄も拾ってくれるし
アタシが歩くペースに合わせてくれるし…
…優しいんだ…。
そう思うと、胸の奥の方がキュッと締め付けられるような気持ちになった。
先輩:「…。」
先輩を見詰める私の視線に気付いてチラッと横目で私を見下ろし
目が合い、ドキンとまた心臓が動き出す。
慌てて2人で視線を反らし合う。
そんな緊張の糸を切るように先輩が口を開く。
先輩:「もう着く。…前。」
ほら、っと言うように前を指して私の視線を前へ向ける。
その先に、見えたのは、
大きな、…校舎。
まるで、大学に来たみたい。
校舎の回りは私の身長よりも少し大きめの塀で囲まれ、
入口を過ぎると、目の前には大きな噴水。
その奥に、校舎の玄関が見える。
校舎は4階立て
玄関に入ると、新入生のための受付台が置いてあり、係員が立っていた。
先輩:「遅刻だな。」
そう言うと、先輩は靴を履き変えて、その受付の係員に話に行ったので慌てて私も靴を脱いで行く。