時空の森と悪戯な風
その ー 噂 ー
「ねぇ、行ってみない?」
学生時代からの友人、菜月とランチを楽しんだ後
アタシの家で一緒にくつろいでいたところだった。
「なぁに?いきなり…」
「ほら、弥生の家の近くにある森よ!」
「そこに行って、どうするのよ?」
「やだ、アンタ知らないの?あの森の噂、聞いてないの?」
「知らないよ?」
「はぁ…こんなに大きな噂になってるのに…」
菜月は、そう言ってコーヒーを飲もうと、カップに手を伸ばした。
「あ、そっかぁ。弥生には圭介君がいたんだもんね。
弥生は彼一筋だから、噂なんて必要ないっか」
クスッと笑ってコーヒーを口にした。