時空の森と悪戯な風
携帯の着信音で目が覚めた。
いつの間にかソファーで、うとうとしてたらしい。
「もしもし…」
『弥生?今日なんだけどさ…昨日あれから同僚と飲んで…そのままソイツの家に泊まったんだ。だから会うのは夕方でいいか?』
「えッ?!」
圭介がアタシに嘘をついた。
アタシは森で圭介と圭介の車を見たのに。
しばらく黙っていると
『悪いな…弥生。じゃ後で』
と言って一方的に電話を切られた。
どうして嘘をつくの?
そんな必要ないじゃない…
アタシに…
またアナタに言えない秘密を増えさせるなんて…
『噂の森に行ったんだ』
そう言えばいいじゃない!
アタシに嘘を言わなきゃならない程の人って誰なの?
もしかしたら…
アタシの知ってる人?
まさか…
アタシが秘密にしてる“あの人”なの?