時空の森と悪戯な風
その ー 問 ー
最近よく行く、老舗の洋食屋さんで食事。
その後は気ままなドライブという、お決まりのパターン。
でも今日は何か違う。
食事の時の会話も少なかったし、話しかけても聞いてない事が多かった。
やっぱり…今朝の森の出来事のせいか?
圭介は、海浜公園の駐車場に車を停め、シートを倒した。
「圭介…何か調子悪そうね。もう帰ろうよ」
「え?大丈夫だよ」
「無理してるのが分かるの。今日は帰って、ゆっくり休んで」
「どうして?俺といるのイヤか?」
「イヤとかじゃない。でも疲れた顔してるのよ、圭介」
「大丈夫だって言ってるじゃん」
「だって同僚と朝まで飲んでたんでしょ?」
その瞬間、圭介の表情が強ばった。
アタシは、それを見逃さなかった。
シートを起こし、ハンドルに手をかける。
「悪かったな…せっかくの土曜日なのに」
「仕方ないよ、飲み疲れなんだよ」