時空の森と悪戯な風
“俺は弥生の何だったんだ”
アタシの彼氏だけど、智治の存在を知ったら疑ってしまうよね…
別れてもいいと思っていた。
いや、そう言い聞かせてたのかもしれない。
忘れられない男がいながら、圭介と付き合ってたなんて。
自分自身と彼に嘘をついてきたんだ、このまま連絡も無く、サヨナラになっても仕方ない。
『弥生…素直になりなさい。正直に話しなさい』
あの時に落ちてきた銀杏の葉を見るたび、父から言われた言葉を何度も思い出す。
ずっとモヤモヤしたままでいても、何も解決しない。
「うん!森に行こう!」
今からだと…
もう少しで日が暮れるからダメだな。
例え会えたとしても、暗い森の中を歩くのは怖すぎる。