時空の森と悪戯な風
突然言われ、戸惑っていた。
知らないはず…
というか、教えるつもりも無かったのに…
そう、それはアタシの【パンドラの箱】だから。
「見せられないのか?」
「ちょっと待って」
覚悟を決めて、ベッドサイドから小箱を取り出し、それを圭介に渡した。
「これなのか…」
そっと蓋を開けた。
中には、噂の森で父と会った時に落ちてきた銀杏の葉と、智治の写真だった。
圭介は表情も変えずに中身を見ると
「やっぱり聞いた通りだった」
と言いながら、アタシに小箱を返した。