時空の森と悪戯な風
帰り道は意外と早かった。
一度通った道だから、早く感じるだけなのかもしれない。
この前、圭介と行った海浜公園の駐車場に車を停め、智治の写真を見ながら、当時の事を思い出していた。
よく会っていた公園で、智治に引っ越す事を打ち明けられ、ショックで泣いていた。
「俺と一緒に、誰も知らない場所で暮らそうか…」
泣いてるアタシを、ギュッと抱き締めながら、囁くように言った。
「…嘘ばっかり…」
智治の胸の中で小さく言う。
「俺が大人だったら、弥生と一緒にいれたのに…」
出来ない事だと分かっていても、その言葉が嬉しかった。