時空の森と悪戯な風
駐車場に戻ると、アタシの車の隣に、圭介の車が停まっていた。
圭介はアタシを見つけると車から降りてきた。
「誰かに会ってきたのか?」
「…会えなかった」
「誰に会うつもりだったんだ?」
「圭介も知ってる人だよ。圭介こそ誰かに会いに来たの?じゃ今日は辞めた方がいいよ。風が吹かないから」
そう言うと、アタシは車に乗ってエンジンをかけた。
「俺は行ってみるから。気を付けて帰れよ」
圭介はそう言うと、森の中へ入っていった。
「会えるわけないよ、無風だったんだから」
ブツブツ独り言を言いながら自宅に戻った。
お昼過ぎ、圭介からメールが届いた。
その内容を見て驚いた。
『あの後、俺はちゃんと会えた。風も吹いたぞ』
何なの?!
あそこは、人を見て風をおこすか判断するの?
アタシに悪戯して楽しい?
アタシは全然楽しくないッ!