時空の森と悪戯な風
その ー 墓 ー

次の日、約束通りの時間に圭介が迎えに来た。



スーツではないが、今までのデートのようなラフな服装じゃなかった。



「どうしたの?オシャレしちゃって」



「墓参りだろ?やっぱり…ちゃんとして行きたいからさ。弥生だってワンピースじゃん」



「まぁね。ちゃんとして行きたいからさ」



フフッと笑いながら言った。



「じゃ、行きますか。場所どこだっけ?」



「天の橋墓園だよ」



車に乗り墓園に向かって走りだした。



今までと変わらない、普通のデートのような二人。



つい先日までの、微妙な空気の二人とは思えないくらいだった。



圭介は父のお墓参りだと思ってるだろう。



『あの人と一緒に来て欲しいんだ』



そう言った智治。



圭介を見た時、智治はどんな表情をするんだろう…



だんだん墓園が近付いてくると、不安と緊張でいっぱいになった。





< 58 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop