時空の森と悪戯な風
その ー 墓 ー
次の日、約束通りの時間に圭介が迎えに来た。
スーツではないが、今までのデートのようなラフな服装じゃなかった。
「どうしたの?オシャレしちゃって」
「墓参りだろ?やっぱり…ちゃんとして行きたいからさ。弥生だってワンピースじゃん」
「まぁね。ちゃんとして行きたいからさ」
フフッと笑いながら言った。
「じゃ、行きますか。場所どこだっけ?」
「天の橋墓園だよ」
車に乗り墓園に向かって走りだした。
今までと変わらない、普通のデートのような二人。
つい先日までの、微妙な空気の二人とは思えないくらいだった。
圭介は父のお墓参りだと思ってるだろう。
『あの人と一緒に来て欲しいんだ』
そう言った智治。
圭介を見た時、智治はどんな表情をするんだろう…
だんだん墓園が近付いてくると、不安と緊張でいっぱいになった。