時空の森と悪戯な風
墓園の周りには、仏花を売ってる店が何軒かある。
お墓参りのたびに行ってる店で花を買った。
父の分と智治の分の花を…
大きい墓園だから駐車場も広い。
お盆、お彼岸に関係なく、車はたくさん停まっていた。
父のお墓は第二駐車場からの方が近いので、そっちに移動して車を停めた。
入口から父のお墓までは少し距離があり、上り坂を少し上った右側にある。
「すごい場所だな…でも、景色いいなぁ。海も見えるし」
圭介は初めて来た場所だから、辺りをキョロキョロ見ている。
「父さん、海も好きだったし、ここは気に入ってくれてると思うの」
花を供え、圭介と一緒に手を合わせた。
『お父さん…これから智治の所にも行くね』
心の中で父に話した。
『弥生…素直に、正直に話してきなさい』
そんな父の声が、聞こえたような気がした。