時空の森と悪戯な風
“運命は変えるもの”
そう思っていた時もあった。
でもアタシが智治の後を追っても、そこに行ける保証はない。
死者が甦る訳でもない。
『弥生の彼、一度会いに来たんだよ。ここに』
「え…?」
『自分の彼女が愛した男に、会ってみたかったって言ってたよ』
アタシは圭介に、智治の事について話したのは、昨日が初めてだったのに、どうして知ってるの?
『どうしてかは言わない。でも、俺も会ってみたかった。俺は弥生を幸せに出来なかったけど、その人は大丈夫なのか、見てみたかった』
「そうなんだ…」
『弥生、彼なら大丈夫だよ。本当に弥生を大切に思ってる。彼になら…俺も安心して…』
暫く言葉がなかった。